メニエール病とは?症状・原因・治療法を詳しく解説

「回転性のめまい」が繰り返し起こっていませんか?
「突然、周りがぐるぐる回るようなめまいに襲われた」「めまいと同時に耳が詰まった感じがする」「耳鳴りとめまいを何度も繰り返している」
このような症状が続いている場合、メニエール病の可能性があります。
メニエール病は、回転性めまい・耳鳴り・難聴が繰り返し起こる病気で、30〜50代の働き盛りの世代に多く見られます。
このページでは、メニエール病の症状・原因・診断・治療法について詳しく解説します。
メニエール病とは
メニエール病は、内耳の内リンパ液が過剰に溜まる「内リンパ水腫」が原因で、回転性めまい・難聴・耳鳴り・耳閉感などの症状が繰り返し起こる病気です。
発症しやすい人の特徴
オリーブユニオンの調査によると、30歳代〜50歳代の働く世代に多く、女性の発症率は男性の約2倍と言われています。仕事や多忙によるストレス、疲れ、睡眠不足などが引き金になるケースが報告されています。
性格的には、几帳面で真面目、神経質で頑張り屋さんに多いという調査結果があります。

働き盛りの世代で、責任感が強く真面目な方ほど、知らず知らずのうちにストレスを溜め込んでしまうのかもしれませんね。日頃から無理をしすぎないことが大切です
発症頻度
10万人あたり16〜48人という報告があり、決して珍しい病気ではありません。
松江市・島根県・鳥取県の山陰地方でも、この病気に悩まれている方は少なくないと考えられます。
メニエール病の3大症状
メニエール病には、特徴的な3つの症状があります。
①回転性めまい
自分や周囲がぐるぐる回るような激しいめまいが、何の前触れもなく突然起こります。めまいの持続時間は10分から数時間、長い場合は12〜24時間続くこともあります。
めまいの特徴:
- 激しい回転感
- 吐き気・嘔吐を伴うことが多い
- 冷や汗、動悸を伴うことも
- 姿勢の変化では誘発されない
数秒〜数十秒の短いめまいの場合は、別の病気の可能性があります。
②難聴
めまい発作の前後に、片側の耳の聞こえが悪くなります。初期は低音域の聴力が低下することが多く、発作を繰り返すうちに中音域・高音域にも影響が出ることがあります。
難聴の特徴:
- 最初は低い音が聞き取りにくい
- 発作後は改善することもある
- 繰り返すと徐々に悪化する傾向
- 片耳に起こることが多い
③耳鳴り・耳閉感
「ゴー」「ザー」といった低音の耳鳴りが多く、耳が詰まったような感じ(耳閉感)や圧迫感を伴います。
耳鳴りは常に聞こえる場合も断続的に生じる場合もあり、めまい発作の前後に悪化することがあります。



めまいの前に耳の違和感や耳鳴りを感じることが多いので、これらの前兆に気づいたら、無理をせず安静にすることをおすすめします
症状の経過と特徴
「繰り返す」ことが最大の特徴
メニエール病の診断で最も重要なのは「めまい発作や難聴発作を反復する」という点です。1回の発作だけではメニエール病とは診断できません。
発作の頻度:
- 連日起こる人
- 数週間〜数ヶ月の間隔で起こる人
- 年に1回程度の人
- 人によって様々
症状の進行
最初のうちは発作以外のときは症状が消失しますが、病気が進行するにつれて、難聴が徐々に悪化し、耳鳴りが絶えず続くようになることがあります。
一般に片方の耳に起こりますが、半年から10年程でもう一方の耳にも発症する人が20〜30%います。
メニエール病の原因
内リンパ水腫
内耳には音を感じる「蝸牛」と平衡感覚をつかさどる「半規管・耳石器」があり、これらは内リンパ液で満たされています。内リンパ液の産生と吸収のバランスが崩れ、内耳に過剰に溜まって膨れ上がった状態が「内リンパ水腫」です。
内リンパ水腫になると内圧が高まり神経が圧迫されて症状が起こり、この状態が長く続くと膜が破れて内外リンパ液が混ざり、めまい・難聴・耳鳴りが発生します。膜が修復されると症状が治まりますが、この過程が繰り返されるのです。
発症の誘因
内リンパ水腫の根底には、ストレス・睡眠不足・疲労・気圧の変化などがあると考えられています。
主な誘因:
- 過度のストレス
- 睡眠不足
- 過労
- 気圧の変化
- 脱水
島根県の気候との関係
島根県は日本海側に位置し、特に秋から冬にかけて低気圧の影響を受けやすい地域です。
気圧の変化がメニエール病の誘因の一つとされており、当店のある松江市でも「天気が崩れる前にめまいが起こる」というお声を耳にすることがあります。
同じ山陰地方の鳥取県も同様の気候条件にあります。
診断方法
メニエール病は「難聴・耳鳴り・耳閉感などの聴覚症状を伴うめまい発作を反復する」という厳密な診断基準があり、それを基に診断されます。
主な検査
①問診
めまいが起こるタイミング、持続時間、どのように治まるのか、めまい以外の症状、反復するかなどを確認します。
②聴力検査
低音域の聴力低下がないか確認します。めまいだけの場合でも、隠れた難聴がないか検査を行うことがあります。
③眼振検査
フレンツェルめがねや赤外線CCDカメラで目の動きを観察し、三半規管の異常を確認します。
④平衡機能検査
目を閉じて足踏みをしてもらい、体のバランスを調べます。内耳に異常がある場合、その場に留まることができず動いてしまいます。
治療方法
メニエール病の治療は、発作時の対症療法と、再発予防の両面から行います。
薬物療法
めまい発作時
回転性めまいの緩和には、メクリジンやロラゼパムなどの抗めまい薬が 使用されることがあります。
吐き気の軽減には、プロクロルペラジンなどの 制吐薬が処方される場合があります。
強い吐き気とめまいで薬が飲めない場合は、点滴治療が行われることがあります。
再発予防
利尿薬(イソバイドなど)が処方され、内リンパ液を減らす治療が行われます。 症状に応じて数ヶ月継続されることがあります。
その他、以下のような薬剤が使用される場合があります:
- 血管拡張薬(内耳の血流改善)
- ビタミン剤
- 抗不安薬
- ステロイド薬(短期的に使用する場合)



利尿薬は苦いお薬ですが、炭酸水で飲むと飲みやすいという声もあります。再発予防に効果が期待できるので、処方された場合はしっかり継続しましょう
生活習慣の改善
減塩食を守る、アルコールとカフェインを避ける、利尿薬の服用によって、大半の患者で回転性めまい発作の頻度を減らせる場合があります
①水分摂取
メニエール病は脱水が引き金になると言われており、毎日十分な量の水を摂取することで改善が見られます。
目安:
- 成人女性: 1〜1.5リットル
- 成人男性: 1.5〜2リットル
②有酸素運動
有酸素運動を連日実行すると、1〜2ヶ月以内にめまいが改善するケースが多いという報告があります。
おすすめの運動:
- ウォーキング
- 早歩き
- 自転車
- 水泳
運動は耳の血流が改善し、ストレス解消にも効果的です。
③規則正しい生活
生活リズムが乱れると自律神経機能が乱れるので、生活全般を規則正しく整えることが大切です。睡眠時間は7時間30分が目標です。
④ストレス管理
十分に睡眠を取って心身を休め、栄養バランスの取れた食事をとるなど、できるだけリラックスした生活を心がけましょう。
⑤塩分制限
塩分の過剰摂取は内リンパ水腫を悪化させる可能性があるため、減塩を心がけましょう。
⑥カフェイン・アルコールを控える
カフェインやアルコールは控えるようにしましょう。
難治性の場合の治療
内リンパ嚢開放術や、ゲンタマイシンの鼓室内投与などの治療法があります。また、中耳加圧治療という方法もあります。
予後と生活の見通し
メニエール病を発症した方の約半数は完治すると言われています。症状を繰り返したり持続する方でも、だんだんと病気の前兆がわかってくるため、メニエール病との付き合い方がわかってきます。
早期に治療を行うことで、症状は比較的改善しやすいと考えられています。
ただし、治療しても徐々に進む難聴が止まらないことがあります。
慣れてくると症状の前兆がわかるようになりますので、調子が悪くなる兆しが見えたら早めに受診することをおすすめします。
他の病気との違い
突発性難聴との違い
突発性難聴は基本的にめまいや難聴を繰り返すことはありません。メニエール病の難聴は低音域から始まりますが、突発性難聴は突然強い聴力低下を感じるのが特徴です。
メニエール病と突発性難聴の比較
| エニメール病 | 突発性難聴 | |
|---|---|---|
| めまいの特徴 | 10分〜数時間続く | ある人もいればない人もいる |
| 発作の繰り返し | 繰り返す | 繰り返さない |
| 難聴の特徴 | 低音が聞こえにくくなる | 突然強い聴力低下 |
| 難聴の特徴 | ストレスや疲労 | ストレスや疲労 |
(出典: オリーブユニオン ミミマガジン)


良性発作性頭位めまい症(BPPV)との違い
良性発作性頭位めまい症の場合と異なり、メニエール病の回転性めまいは姿勢の変化に誘発されることはありません。
メニエール病の約30%が、良性発作性頭位めまい症を合併しています。
前庭神経炎との違い
前庭神経炎では難聴・耳鳴りは生じません。どちらも安静にしていてもめまいが続くという点では似ています。
すぐに医療機関を受診すべき症状
以下のような症状がある場合は、すぐに医療機関(耳鼻咽喉科)を受診されることを強くおすすめします。
緊急性が高い症状:
- 激しい回転性めまいが続く
- 激しい吐き気・嘔吐を伴う
- 難聴とめまいを繰り返している
- 片耳だけに症状が集中している
- 日常生活に支障が出ている
早期発見・早期治療が重要:
早期に治療を行うことで、症状は比較的改善しやすいと考えられています。
「めまいくらいで病院に行くのは大げさかも」と思わず、症状が続く場合は早めに受診しましょう。
聞こえのサポート
メニエール病により難聴が進行した場合、日常生活での聞こえに不自由を感じることがあります。
聞こえづらさを感じている方には、集音器という選択肢もあります。集音器は周囲の音を大きくして聞きやすくする機器で、医療機器ではないため、気軽に試すことができます。
当店では集音器「オリーブエアー」を取り扱っており、以下のような特徴があります。
オリーブエアーの特徴
- 耳脳トレーニング機能搭載
- 自分で調整できる
- スマートフォンで簡単操作
- 医療機器ではないため、気軽に試せる


さらに詳しく知りたい方へ
聴力レベルや聞こえの変化について詳しく知りたい方は、基礎ガイドをご覧ください。


ストレスと聞こえの関係について知りたい方は、こちらのページをご覧ください。


聴力と認知機能を鍛える耳脳トレーニングについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。


参考情報
このページの作成にあたり、以下の信頼できる情報源を参考にしました:
- オリーブユニオン ミミマガジン「メニエール病の症状や原因、治療方法とは?」
- MSDマニュアル家庭版「メニエール病」
- めまいメニエール病センター
- 愛知県薬剤師会「メニエール病」
メガネ時計宝飾 長谷川時計店
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