エクセレンスチタンとは|シャルマンが8年かけて開発したメガネ専用チタン合金
エクセレンスチタンは、シャルマンが東北大学金属材料研究所との8年以上にわたる産学共同研究の末に完成させた、メガネフレームのためだけに開発された独自のチタン合金です。2009年に技術開発・製品化に成功し、特許を取得しています。
これまでメガネに使われてきた素材は、航空宇宙や医療など他の分野で開発されたものをメガネに応用するのが一般的でした。「メガネのために、素材から開発する」というシャルマンのアプローチは、当時の業界常識を大きく覆すものでした。
開発の背景:なぜ素材から作る必要があったのか
チタンは強度・軽さ・耐食性を備え、ニッケルを含まないことから、メガネをはじめ多くの分野で使われてきた金属です。掛け心地を高めるために、柔軟性の高いβチタンや形状記憶性を持つNT合金なども登場しましたが、これらはいずれも他分野で生まれた素材をメガネに転用したものでした。そのため、メガネにとって理想的な特性をすべて満たしているとは言いがたい部分がありました。
シャルマンの技術者・多田弘幸はこう語ります。「長年メガネフレームの製造に携わっているからこそ、どんな素材が求められているかが分かる。だから、我々がやるべきだと。」この言葉が、エクセレンスチタン開発プロジェクトの出発点でした。
東北大学金属材料研究所との共同研究がスタートしたものの、開発は困難の連続でした。実験では成功しても製品化の段階で問題が起きる、塗装やメッキを施すとバネ性が失われる、自社の厳しい品質テストをクリアできない――ひとつの壁を越えれば次の壁が現れる状況が続き、プロジェクト自体が存続の危機にさらされることも幾度かありました。それでも開発チームの情熱は途絶えることなく、2009年春、ついにエクセレンスチタンが完成しました。開発スタートから8年以上が経過していました。
エクセレンスチタン、4つの特徴
01 しなやかなバネ性
エクセレンスチタンは、従来のチタン合金を上回るしなやかなバネ性を持ちます。こめかみを締め付けることなく、頭部にやさしく沿いながらも、ずれにくい安定したホールド感を実現します。「包み込まれるような掛け心地」という表現がよく使われますが、これはこのバネ性によるものです。
02 形状記憶性
メガネは使い続けるうちに少しずつ形が変わり、ゆるみやずれが生じることがあります。エクセレンスチタンは元の形を記憶する性質を持っているため、通常の使用において型崩れしにくく、購入時の掛け心地・ホールド感が長く持続します。
※過度の力が加わった場合は形状が戻らなくなることがありますのでご注意ください。
03 優れた加工性
形状記憶合金(NT合金)は優れたバネ性を持つ一方、加工が難しいためデザインの自由度に限界がありました。エクセレンスチタンはこの加工性の壁を乗り越えることを開発の大きなテーマのひとつとしており、形状記憶性としなやかさを持ちながら、繊細で複雑なデザインも実現できる素材として完成しています。これが、ラインアート シャルマンに代表される独創的なテンプルデザインを可能にしています。
04 ニッケルフリー
金属アレルギーの原因として最も多く挙げられるのがニッケルです。メガネは肌に直接触れるものだからこそ、安全性は絶対条件です。エクセレンスチタンは、ニッケルを含まない形状記憶チタン合金として世界で初めて実用化された素材であり、金属アレルギーが心配な方にも安心してお使いいただけます。
エクセレンスチタンを支えるもうひとつの技術:レーザ微細接合
エクセレンスチタンの性能を最大限に引き出すには、素材開発だけでは不十分でした。その特性を活かしながら繊細なデザインを実現するには、まったく新しい接合技術が必要だったのです。
従来のメガネ製造では「ろう付け」と呼ばれる溶接方法が一般的でしたが、加熱範囲が広く母材が軟化しやすいという課題がありました。そこでシャルマンが着目したのが、自動車や航空機の部品接合に使われるレーザ接合技術です。
シャルマンは、大阪大学接合科学研究所およびふくい産業支援センターと5年にわたる共同開発に取り組み、2009年に「レーザ微細接合」の実用化に成功しました。シャープペンシルの芯ほどの細さ(1mm以下)での接合を可能にしたこの技術は、素材のバネ性や弾性を損なわず、なおかつ仕上がりが美しいという、メガネフレームに理想的な特性を備えています。
エクセレンスチタンのしなやかさと、レーザ微細接合の精密さ。この二つが組み合わさることで、ラインアート シャルマンの独創的なテンプルデザインが生まれています。
ものづくり日本大賞 特別賞受賞
エクセレンスチタンとレーザ微細接合という二つの技術革新は、2012年、内閣総理大臣表彰制度「第4回ものづくり日本大賞」の産業・社会を支えるものづくり/製品技術開発部門において、眼鏡業界初となる特別賞を受賞しました。
受賞したのはシャルマンの技術者グループのほか、東北大学総長特別顧問 井上明久氏、大阪大学教授 片山聖二氏を含む計9名のグループです。産学官の垣根を越えた長年の研究の成果が、国に認められた瞬間でした。
エクセレンスチタンを採用したブランド
エクセレンスチタンは、シャルマンが展開する複数のブランドに採用されています。なかでもラインアート シャルマンは、テンプルにエクセレンスチタンを大胆に使用し、その素材の特性を最大限に表現したシャルマンの代表ブランドです。
エクセレンスチタンを採用したフレームは当店でご試着いただけます。実際に掛けていただくと、その掛け心地の違いをすぐに感じていただけます。どうぞお気軽にお申し付けください。
