レンズ交換事例:タートオプティカル ブライアンのアリアーテトレス ブリーズブルー
2025/07/07
島根県松江市のメガネ専門店、1級眼鏡作製技能士 店長 長谷川です。今回は、お客様I様のタートオプティカル ブライアンのレンズ交換事例をご紹介します。度なしのカラーレンズを新しいカラーに変更し、こだわりの仕上がりを追求。メガネ時計宝飾 長谷川時計店で、島根県松江市のお客様と作り上げた一品をご覧ください。
I様のレンズ交換:タートオプティカル ブライアン
I様が愛用するタートオプティカル ブライアンは、度なし(平面)のメガネフレーム。購入当初はグレー系のライトカラーレンズでしたが、今回は別のカラーに変更したいとご相談いただきました。豊富なカラーから、アリアーテトレスのブリーズブルー 25%グラデーションを選び、さわやかな雰囲気をチョイスしました。
アリアーテトレス ブリーズブルーに決定
店頭でアリアーテトレスのサンプルをご覧いただき、I様が選んだのはブリーズブルー 25%グラデーション。涼やかな色味が、タートオプティカル ブライアンのデザインと相性が良さそうでした。サンプルで雰囲気や色味を確認いただき、カラーを決定しました。
ハーフライン比率のこだわり
現在のグレー系レンズはまだ使える状態でしたが、I様は新しいカラーへの変更を考えていらっしゃる。ファッションに、かなりこだわりがあるようでもありましたので、そのこだわりにこたえることができるよう、ハーフライン比率についてもじっくりお話しをしました。
グラデーションカラーにおけるハーフラインとは
ハーフラインとは、おおざっぱに表現すると、基準カラー濃度から透明に変化する境目のラインです。
私からは、「サングラスやブランドメガネのグラデーションは、下部がほぼ透明にならない8:2~9:1の比率がクールでおしゃれ」と提案。I様と相談し、9:1の比率に決定。レンズ下部でも色が残る、洗練された仕上がりを目指しました。
ホワイト系反射光でブルーを引き立てる
さらに、ブリーズブルーの美しさを最大限に活かすため、私はホワイト系反射光を提案しました。通常のハードマルチコート(反射防止コート)では、グリーン系の反射光がブルーの色味を損ねる可能性があります。ホワイト系反射光なら、綺麗なブルーが引き立ちます。そのために、まずは内面マルチコート(裏面マルチコート)を提案しました。
内面マルチコートとは
内面マルチコートは、レンズ内側を通常コート、外側を反射防止効果を抑えた仕様にし、ホワイト系反射光を実現します。しかし、この方法には課題がありました。
視感透過率の課題
ブリーズブルー 25%グラデーションは、視感透過率74%で、夜間運転や夜間利用に不適合(視感透過率75%未満)。
I様にはその点を事前にご説明済みでしたが、内面マルチコートを施すと、外側の反射防止効果が減るため、視感透過率がさらにわずかに下がります。I様は「これ以上見え方を落としたくない」とのご希望でした。
クリアマルチコートで解決
そこで、別の方法としてクリアマルチコート(伊藤光学 アボナール160AS)を提案しました。
※イメージ図
このコートは、反射防止効果をほぼ維持しながら、ホワイト系反射光を実現。価格は内面マルチコートより高めですが、I様が最近タートオプティカル ブライアンをご購入いただいたこともあり、特別にサービスで適用させていただきました。これで、ブリーズブルーの色味を損ねず、快適な視界を確保できました。
加工と最終調整
入荷したハーフライン比率9:1のブリーズブルーのレンズをフレーム枠にあて、下部の濃度を確認し、理想のグラデーションに仕上がるよう幾何学中心位置を調整しました。度なしレンズのため微調整が可能なことを考慮しておりましたが、度付きレンズで行う場合は、より慎重になハーフライン比率の決定が必要です。
完成:こだわりのグラデーション
完成したレンズはイメージ通り!写真では伝わりにくいですが、下部に向かって色が薄まりつつ、最下部でも透明にならない絶妙な仕上がり。I様のこだわりが詰まったおしゃれ伊達メガネ・おしゃれサングラスになりました。
クリアマルチコートを付け、ホワイト系反射光もバッチリ!ブリーズブルーの綺麗な色が綺麗に映えます!(写真ではブルーが分かりづらいですが)
ハーフライン比率の難しさ
ハーフラインは、見た目で明確なラインはありません。アリアーテトレスでは、濃度基準は幾何学的中心の10mm上に設定され、下部へいくに従い色が薄まりますが、「完全に透明になるライン」がハーフラインというわけでもなく、そのラインは少々アバウトです。(オプティカル協会にも念のために確認済みです)。そのため、思い通りの仕上がりには技術と経験が求められます。
なお、注意点として、レンズメーカーごとのデフォルト比率も異なりますので、ハーフラインの比率を指定しない場合でも、使用するレンズメーカーによって、グラデーション具合が異なってきます。
例えばピックアップした3社のハーフラインの比率は下記の通りです:
- セイコーオプティカル:7:3
- 東海光学:7:3
- ニコン:6:4
※アリアーテトレスのサンプルは7:3で設定されています
ハーフライン比率の異なる3事例の比較
ハーフラインの比率の設定で、どんな風に変化するのかイメージ図を作製してみました。レンズの幾何学中心をメガネ枠の中心に合わせています。
ニコンさんの6:4のハーフライン比率ですと、メガネAのような仕上がりになります。今回の事例ではメガネCになるようなイメージで作製しました。
カラーを試してみよう
メガネ時計宝飾 長谷川時計店では、アリアーテトレスをはじめ、さまざまなカラーサンプルをご用意。実際に試して、納得のカラーをお選びいただけます。カラーレンズはファッションとアイケアを両立する人気の選択肢。アリアーテトレスは業界統一カラーで、すべてのメガネ店で対応可能。その他のカラーや、調光レンズや偏光レンズなど、機能性カラーも豊富です。メガネのカラーって、選ぶだけでワクワクしますよね!
今回のポイント
- 決定したカラー: アリアーテトレス ブリーズブルー 25%グラデーションを選びました。さわやかなブルーがタートオプティカル ブライアンのデザインに新たな魅力を加え、ファッション性と個性を引き立てる選択となりました。
- ハーフライン比率の指定: グラデーションのハーフライン比率をどう設定するかが重要。レンズ下部をしっかり透明にするか、透明にならない程度のこだわったグラデーションにするか。I様と相談し、9:1の比率で、下部でも色が残る洗練された仕上がりを目指しました。
- 夜間運転&夜間利用: 25%グラデーションは、幾何学的中心では夜間利用に適合しますが、25%濃度以上の部分は視感透過率75%未満で夜間不適合。この微妙なカラー特性をI様に事前に説明し、用途を考慮した選択をサポートしました。
- カラーへのこだわり: 通常のハードマルチコートはグリーン系反射光のため、ブリーズブルーの色味を損ねる可能性があります。ホワイト系反射光にすることで、ブルーの鮮やかさが際立ち、レンズの美しさを最大限に引き出しました。
- ホワイト系反射光の方法: 視感透過率を落とさず(見え方を悪化させず)、反射防止効果を維持しながらホワイト系反射光を実現するため、クリアマルチコート(伊藤光学 アボナール160AS)を採用。I様の快適な視界とカラーの美しさを両立しました。
まとめ:こだわりカラーの楽しさ
度なしレンズでも、カラーや比率、コートにこだわれば、唯一無二のメガネに。簡単に済ませるのもいいですが、じっくり選ぶ楽しさも格別です。カラーレンズは、ファッション性と機能性を両立する今注目のアイテム。調光レンズで光に適応したり、偏光レンズでまぶしさを抑えたり、選択肢は無限大。ぜひ、島根県の当店で、あなただけのカラーを一緒に見つけましょう!